タカマタギ 大滑沢 白板スラブ

この日は、Webにアクセスしてきたルーマニア人と一緒に富士登山の予定であったが、キャンセルになったので日曜日一日で岩に行くことにする。小川さんと相談した結果、6月に荒沢山から大きく見えたスラブ(その後の調査で「白板スラブ」と判明)に決めた。

日程

  2005/08/07 金子、小川
  8/6  新幹線で越後湯沢まで
  8/7  6:40土樽駅 7:00出発 8:30白板スラブ出合い 12:00稜線 15:30林道 16:30土樽駅

報告

写真地形図

今回も荒沢山のときと同じく最終の新幹線で越後湯沢に行く。どうせ駅寝になるので夜行電車がぴったりなのだけれど。新幹線は速くて便利なのだがお金が掛かってしまい悲しい。朝一の電車で土樽に戻る。駅舎には色々な虫がいて楽しい。駅から延びる歩道には草が被さってきていて、昔と比べると本当に廃れた感じがする。

毛渡沢の橋からはスラブの上部が遠望できり。岩が白くて見栄えがする。雲が出ており、午後には俄雨が降るだろう。小一時間歩くと、小沢が鉄柵の上から流れてくる。ここで準備をして入渓した。薮沢で蜘蛛の巣が顔に貼り付いてきて嫌な感じである。沢中に蟇蛙が沢山いる。一箇所滝を小さく巻くところがある。左の尾根を大きく回り込むように随分進むと、急に右岸開けて、スラブが落ちてくる。出合いにまだ小さな雪渓が残っていた。

 最初の滝は左の泥斜面を上がり、2つ目の滝のところでロープを出す。右を巻き上がったところから、右スラブが始まる。遠目の錯覚だったのか、概ね立ったまま歩ける程度の傾斜で、一ノ倉のテールリッジくらいだろうか。ところどころに草や灌木が生えているが、岩自体は露出しており、花崗岩で固くフリクションも効くので、もう少し傾斜が強ければ素晴しいだろう。
真ん中から、なるべく傾斜のある中央の緩いリッジに向って進む。途中、ちょっとピンを打ったりしつつ左寄に進み、右スラブの左俣上部に到着した。そこから左の藪尾根沿いに懸垂で左スラブに入ることを予定していたが、上部の濡れた藪で上に追い上げられてしまい、稜線に出てしまった。スラブを分ける尾根の上部を覗くと藪が濃くて懸垂が面倒そうだし、天気の見通しも良くなさそうだし、もう充分でしょう、ということで、そのまま降りることにした。

しかし、稜線上は藪々している上に結構切れたりしていて悪い。右手のスラブ(東側の沢源頭)は上から眺めた範囲では歩けそうに見えたので、そのまま懸垂で下ることにする。2ピッチで乾いた流水溝に着くが、歩ける傾斜ではないのでそのまま更に1ピッチ下る。更に木に捕まりながら扇の要の位置までずり降り、滝を2つ懸垂で下り、崩壊した雪ブロックを超えて河原に着く。思いの他、面倒だった。
靴を履き替えて下る。3時の電車に間に合うかとも思って急いだが、意外に長くて途中で諦めた。この沢も藪沢で特に悪いところはなく、道と土管で出会う。随分と南(多分三本スラブ中一番東の)に出てしまったようだが、あまり気にしなかったので良く分らない。

雷が鳴っており、暫く歩くと雨が降ってきた。とぼとぼ歩き、土樽駅で2時間弱待って6時の電車で東京に帰った。

(金子記)

足拍子山塊 荒沢山 ホソドノ沢 ダイレクトスラブ

季節柄、岩に行きたい気分になったが、谷川は既に天気が悪い時期である。「一日で行けて難しくない」ということでダイレクトスラブを考えた。ここは昔に、先輩の萩原さんから行こうと言われて以来、心惹かれていた。また、最近時々見ている「Young Climbers Meeting」のサイトの記事によれば、足拍子東面のフィールドは四季を通じて楽しめるようなので、手を付けてみたいと思っていたこともある。そんな訳で、最悪天気が良くなくても、足拍子川本谷周辺の偵察になるので悪くなかろう。最初、6/12に予定したが、論外な天気だったので1週間ずらした。

日程

  2005/06/19 金子、青山、片倉
  6/18  新幹線で越後湯沢まで
  6/19  タクシーで足拍子川まで、7:00コマノカミ沢出合 8:00ダイレクトスラブ出合い 13:00荒沢山頂 16:00土樽

報告

写真地形図

夜行電車があればちょうど良い距離なのであるが、今は新幹線を使うしかない。朝発では微妙に遅いため、越後湯沢で駅寝をするしかなく、中途半端なのは手軽さを損っている。最終のMAX谷川に乗るが、2階建で空いており、上野からでも座れる。越後湯沢駅にはあっという間に着く。東口に出てタクシーを頼み早々にベンチで寝る。

 タクシーは、林道の二俣(多分地形図で600m地点)まで入った。周りは天然林が多く爽やかに歩く。無理をすれば、車はその先の経木沢の先まで入れるようで、軽トラの山仕事おっさんが居た。車の中にキーを入れてしまったとのことで、電話を頼まれたがここいらは圏外のようだ。この周辺は植林してあり残念感があるが、本谷の奥方面には立派なスラブが望まれる。林道はコマノカミ沢に沿って曲って行くのを確認し、少し戻って本谷に入渓した。

  本谷は本当に小さな沢で、コマノカミ沢を分けると小川になる。しかし、沢床は岩盤が出ており、所々楽しい。途中3ヶ所くらい雪渓に乗りつつ進む。前手沢出合いからは完全に雪渓に埋まっていた。ホソドノ沢出合いは指呼の距離で、左岸はブッシュの付いたスラブが広がっている。中では風穴スラブが規模が大きそうに見える。ホソドノ沢に入るとすぐ(2本目)のスラブがダイレクトスラブだ。
左端の雪渓が泥壁と繋がっているところから降り、アンザイレンしバンドに這い上る。右端に移動して低い木が生えている岩の継ぎ目をコンテで取り付く。80mくらい進み、適当に藪を漕いで左に出てみると小さいバンドがあり、スラブに戻った。上を見ると涸滝(F2)が見え、その上で二股と分った。

 ここで靴を履き替えてスタートする。10mほど進むと記録に見るようにハーケンが2本ほど打ってあり、その少し先にボルトが一本あった。そのまま進むと、傾斜が急になってくる。ピンがなくルートが分らないので、岩がスッキリした真ん中から右に向かって直登してみた。落ち口が少し良くなく、気付いてみると落ちると10mくらい何もない状況で少し焦る。左右に動いて偵察してみたが似たようなものなので、仕方なく気休めにハーケンを一本打ってから這い上がる。本当は左ルンゼ寄りに登るのかもしれない。

 中央ルンゼに入った当初は岩が固いが、進むにつれ表面がグズグズ風化した感じになる。ロープを延ばしたコンテに切り替える。天気は最高で気持ち良く進む。途中滝の上に熊の死体がひっかかっていて驚く。岩場を転落したのだろうか。 大分上部まで来ると前方が藪になったので、右の比較的岩っぽいほうを選ぶ。最後に崖をスタカットで登って松の木の生えた尾根に入る。50mくらい進むと山頂の僅かに北、主稜線の柄沢山寄りに出た。結果的には左の薮のほうが正解だったかもしれないが、良しとしよう。荒沢山は小さいながら瘤状で気分の良い山頂で、のんびり休んだ。何故か蟻に集られた。荒沢山から見る足拍子山は土樽側から見るのとは違って荒々しく興味を引かれる。また、北面を見ると稜線付近に所々スラブが広がっている。

 下りはカドナミ尾根を下る。踏跡はあるのだが解り難いところがあり、3回くらい道を外した。下り途中、対面に、タカマタギから派生する尾根上に、3方にスラブを持つ小ピークが遠望される。特に右端のはかなり大きく見え、無名なのが不思議なくらいだ。随分時間が掛かって早大の山小屋があり、ほどなく車道に出た。土樽駅に付くや激しい雷雨になり、2時間強だらだらと待ち、6時の電車で帰った。

(金子記)

   ホームに戻る   山のページに戻る 御感想はこちらまで