2007年度の山行報告 2

冬合宿・槍が岳(中崎尾根)

L落合、長森、五十嵐、片倉、竹花、虫明、永安

12月29日(土)
19時JR日暮里駅集合、落合、五十嵐号で出発。
 0時半道の駅「奥飛騨温泉郷上宝」到着。入山祝いの後、仮眠。
12月30日(日)
 6時半起床(6時の予定が寝坊)、朝食を摂り新穂高の無料駐車場に車を停め
登山届けを提出し、8時45分入山。
 道の駅を出る頃から、雪の降りが強くなってきていた。
 白出沢までは林道歩きである。積雪は20cm程度だが、トレースが有るので
問題ない。
 10時15分穂高平着。休憩の後、さらに一時間足らずで白出沢。
 ここから山道でトレースは夏道沿いに付いていた。久々の重荷で、50分位歩
いては、休憩を摂り、滝谷非難小屋に着いたのは、2時前。
 小屋には、既に4人ほど居たそうだ。
 滝谷を出て、しばらくは夏道通りにトレースがあったが、樹林が薄くなった所
で、雪崩のデブリがあり、それを避けるように沢に下りるトレースが付いていた。
そのまま、沢の左岸をトラバースして、対岸の樹林が濃くなった辺りで再び、元
のルートに戻った。その頃から急に人の数が増えてきた。こんな天気でも結構入
山者は多そうだ。
 槍平に到着は、15時半頃。既にかなりの人数がテントを張っていた。
 総勢30人位か。我々は槍平小屋と冬季小屋の間の樹林の中に適地を見つけ、
テント(2張)を張った。予報だとこの日は二つ玉低気圧が通過し、翌日からは
強い冬型になる。多分2,3日は、回復しそうに無い。8時就寝。
12月31日大晦日(月)
 4時起床。昨晩寝る頃は、テントに当たる雪がパラパラを音を立てていたが。
夜中から音がしなくなった。風邪も樹林の中なので気にならなかった。止んだの
かな? と、思ったら、雪の質が変わっていただけだった。完全な本降り状態だ
った。テントの周りの踏み後も消えている。早々に本日撤収を決断する。明るく
なった7時にテントの撤収に掛かるが、周りの殆んどのデントは、起きている気
配も無い。中崎尾根方面へ向かった1,2のパーティーは、有った様だが、8時
15分出発した我々が、この日最初に下山したパーティーだ。ほとんどはこのまま
停滞するようだった。諦めが良すぎるかとちらりと思ったが、日程的にこのまま
待っても槍ヶ岳アタックは、適わないのと、これ以上積雪が増えないうちにと、
決断しました。
 出だしからのラッセルで、テント場の入口付近に張ってあったテントの脇に、
トレースが有った。それを行こうとすると、テントの人に「それは、昨日偵察に
行ったときのだから違うよ」と言われた。テント脇に刺してあった篠竹の赤布に
『三峰山岳会』の名が書いてあった。
 方向転換し、ともするとルートを外しそうになるが雪の下の踏み後を辿りなが
ら皆で交代でラッセルした。皆、なかなか力強いです。何とか往路で沢の対岸を
トラバースした所辺りに来たが、降り口が分からず、長森さんと空身で夏道を
探すがルートは判然とせず、やはり雪崩が怖いので、沢の対岸へ渡りルートを探
すが風雪が益々強くなり、視界も悪くなったので一旦戻っていると、別の3人パ
ーティーが追いついて来た。私達のつけたトレースは殆んど消えていたようだ。
そのパーティーのリーダーと思われる人と3人で再びルート偵察に行って、何と
か昨日のルートとほぼ同じトレースを付ける事が出来た。その途中で、下流方向
に滝谷の小屋を見出すことも出来ました。長森さん先頭で対岸トラバースを終え
もとの岸へ登り返し、再び樹林帯のラッセルで滝谷非難小屋に着いたのは、13
時半、槍平を出て5時間経っていた。小屋の中には、二人の単独行者が寝ていた。
ゆっくり休憩の後、先ほどの3人パーティーと前後しながら、白出沢へ向かった。
白出沢に着いたのは、16時を過ぎていた。沢を渡り、林道の脇にテントを張っ
て一夜を過ごした。
1月元旦(火)
 6時起床。天候は相変らず、ひと晩で更に20cmほど、積もったか。
 9時15分白出沢発。テント撤収中に1パーティー下りて行った。
 雪崩事故の情報を聞いたのは、穂高平小屋にいた、人からだったが、その時は
まさか槍平のテント場でとは思っていなかった。
 11時15分新穂高下山。
 バスターミナルには、テレビのクルーが来ていて、竹花さんがインタビューを
受けていた。放送局の人から、事故は槍平のテント場で「三峰山岳会」、他の方
が巻き込まれたとの情報を得ました。ちょうどその頃、中嶋さんからニュース
で皆心配している由の電話が有り、全員無事下山の報告も出来ました。
 駐車場の車を掘り出し、平湯のバスターミナルで温泉、食事を済ませ帰京の途
につきました。

 今回の事故で犠牲になられた4名の方のご冥福を心よりお祈りいたします。
 
 なんであんな所でと思っておりましたが、ニュースの映像を見た限りでは、沢
対岸の中崎尾根に登る尾根の脇の谷を滑り落ちてきたようです。
 雪崩に限らず、山では何が起こるかわかりません。改めて心を引き締めて山に
向いたいと思います。
 自分自身リーダーとしての役割を果たせたかと言われれば、かなり疑問の残る
山行でもありました。