越後駒 北ノ又川本流

今年は会山行を強化しようと6月に沢を計画していたのだが、トレーニング不足で膝を傷めてしまい、スキップしてしまった。再度この時期に計画を立てようと思ったが、参加者が 3人しか集まらなかったこともあり、趣味的な沢ということで越後の北ノ又川に行くことにした。

1994年に人見さんに支流の滝ハナ沢に連れて行ってもらって以来、いつかは行きたいと思っていた。私は何しろ本流が好きだ。豊富な水流によって造られたゴルジュの光景には驚きがあり、そこの突破にも他のジャンルにはない楽しさがある。一般に支流のほうに大きな滝が多く、ランクが上だったりもするが、困難度の問題ではない。

しかし、7月中旬にあった新潟地方の水害の影響があり、直前までバスが運休していたり、沢の現況も解らなかったりした。さらに迷走颱風の懸念もあり、弱気になり断念しかけたが、兎に角行くことにした。

日程

  メンバ:  金子、青山、片倉
  7/30 新幹線で浦佐まで。乗り換えて小出駅まで行き、駅舎の軒で寝
  7/31 6:30枝折峠バス 8:00石抱橋 9:00入渓 12:00滝ハナ沢出合 13:30芝沢出合 16:00板倉沢出合 17:30二条滝上 幕
  8/01 6:30シッカイ沢出合 9:00大ヒカバ沢出合 10:00シッカイクラ沢出合 11:00アサズキクラ沢出合 16:00最後の二股 幕
  8/02 9:00山頂 13:30十字峡

報告

入渓

 今迄、銀山平に来たときはいつもシルバーライン経由だったので、枝折峠は初めてになる。乗ったのはマイクロバスで、私達の他には登山者 1人しか乗客が居なかった。こんなでは、いつ廃止されても不思議はない。皆さんもっとバスを利用して欲しいと思う。(枝折峠には自家用車が道にはみ出すほど駐車されていたのだが…)。シルバーラインはトンネルばかりだが、この路線は眺めが素晴しい。佐梨川奥壁が良く見える。
前回は右岸の坪倉沢から入山したが、今回は左岸をできるだけ入ることにする。石抱橋からは"河は眠らない"の碑を見て左岸の林道を行き、橋のたもとから"銀の道"の表示のある登山道を行くと白沢林道に出る。この辺り、左岸もそうだが、対岸にも10年前にはなかったペンション村ができていて驚く。柳沢を過ぎたあたりで、左の作業道に入ってみた。白沢を渡ると作業小屋があり道が分かれるので、はっきりした道を右に入り、低い尾根を越えると沢に下りた。ここから入渓することにした。
 周辺は広い河原であるが、河岸の二抱え以上ある木の根が露出してしまっており、2m位上まで樹皮が禿げている。豪雨時には猛烈な出水があったようだ。川岸、川底の石/砂利が安定していなくて歩き難い。メジロがうっとうしくまとわりついてくる。

箱淵

出口には大量の土砂が堆積している。淵自体も以前より浅くなっているように見える。流路だけ抉れており右岸に渡るのに足が立たず、ちょっと泳ぐ。記録的な暑さのため気持ち良いくらいだ。巻道に入る斜面は少し崩れているためか、良く解らなくなっているので強引に登る。
 上のゴルジュを一緒に越えられるかと思い、少し先まで進んでみるが、小沢に行き当り下りる。小ゴルジュは特に大雨の影響も見られず、前回と同じようにへつりで越えられた。先の状況に対する心配も無用なようだ。

滝ハナ沢

 滝ハナ沢は意外なほど水量が少ない。前回は不安もあって大きな沢に見えたのだろうか。本流の水は全然減らないのでがっかりする。ここからは初見になるので、気持ちを引締める。河原は程なく終わり、広いU字溝のような渓相になる。泳ぎを混じえながら進む。

芝沢出合

  水量豊富な沢でゴルジュ内で出会う。ここから巻き道があるとのことで、時間的に捗っていないこともあり巻くことにする。偵察の結果芝沢に20m入った所から明瞭な巻道に上がるが、すぐ判らなくなってしまう。でもまぁ疎林なので、気にせず斜面を適当に進んで行く。途中踏跡拾いつつ2時間樹林をトラバース。大ビラヤス沢が対岸に入ってくるのを見てしばらくで小ルンゼに突き当たり、出合に10m懸垂。
 ここからしばらく沢床に色鮮やかな赤い岩が転がっていて美しい。ほどなくに板倉沢出合いに着く。

板倉沢

この沢も結構水量があり、本流の水はかなり少なくなってきた。この辺りでそろそろ泊まりの時刻なので、岸を見ながら進む。小さな河原のところで2人に待ってもらい、少し先に偵察してみる。2人の見ているガイド本によると、二条の滝の上に良い天場があるとのこと。見えていたのでそこまで進むことにした。直登できそうなので左壁のバンドに上がってみるが、意外とバランスが悪い上に支点が見つからないので、右岸ルンゼから巻く。巻き下りたあたりの薮が平らになっていて、幕営した。河原に下りて、焚火をしながら食事を作った。

段々畑のゴルジュ

   朝出発してすぐシッカイ沢が出合い、沢はゴルジュ状になる。徐々に景色が広がってくると核心部に入る。滝場になり直角に左折/右折する。沢、釜、側壁のどれも造りが大きく噂通りの絶景だ。最後に左折するところに直瀑があり、上にはスノーブリッジが掛かっていた。右岸を潅木の生えた上のバンドまで上がり踏跡に乗る。高度感のあるトラバースして凹角を越え上流側壁に出る。下りても良さそうだったが、沢が良く見えないのと時間短縮のためもう少し進んで潅木薮に入り懸垂30mで沢床に下りる。ここからも暫く廊下状が続き、大ヒカバ沢出合い後序々に河原になる。 

シッカイクラ沢出合

広々として明るく気持ち良い。兎岳の稜線が遠くに見える。それにしても、ガイド本では初日にこの周辺まで到達して幕営することになっているが、ちょっと難しく思う。やがてシッカイクラ沢出合いを過ぎてしばらくすると雪渓になる。途中一箇所割れていたのでジャンプ。このときは時間的に充分小屋まで行けると思い楽観的になっていた。

アサズキクラ沢

出合いから入ってすぐに雪渓が割れて滝が出ており、赤茶けた左岩壁を登る。20m位だがやや脆い上にピンがなく緊張する。途中1本打って登る。滝上でまたすぐに雪渓になるが、左に曲って登れそうにない直瀑になる。左岸の土窪から潅木帯下端に入り巻く。この辺りはかなり上まで草付になっていて意外に悪い。落ち口に続く尾根を越えて下を眺めてみたが、次の滝も登れそうにないので、そのままもう1本尾根を越えて20mの懸垂で雪渓に戻る。時間を食ってしまい上まで行けそうになくなった。適当な泊まり場を捜しつつ、急な雪渓をあえぎあえぎ登る。
 結局適当なところがなく、最後の二股を右に入ったところで、岩陰にツェルトを張った。

中ノ岳山頂

 右俣をそのまま行けそうな感じもあったが、ガイド本に従いおとなしく右の草付に取り付き、露岩を拾いながら尾根に這い上がる。尾根上は結構な薮で、山頂はとても遠くに見えてしんどい。頑張って登るとほぼ頂上付近に出た。
 十字峡に下ったが、この道は長い。暑さにヘロヘロになって、ようやく小屋についた。

感想など

この沢では、私の滝や淵の巻き/登攀に関する判断感覚がフィットしていなかったようで、ピンがあるはずと思って突っこんだところになかったり、逆になくても良さそうなところにベタ打ちされていたりした。越後駒周辺で登りたかった水無川と北ノ又川の本流を辿ったので、しばらくこの辺りには行くことはないと思う。
なお、記録を調べていて見つけたのですが、釣りをしている登山者がいるようです。この川は全季節禁漁になっていますので、絶対に止めて下さい。既に監視員とトラブルになっている例もあり、規則も守れないようでは全面入谷禁止になっても文句は言えないですよ。

(金子記)

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